地裁判決の矛盾①

個人事業税訴訟ですが、一審は敗訴しています。
二審で勝訴、最高裁で上告不受理で勝訴で確定です。

一審は正直内容が酷く、本当に不可解な内容でした。

第三種事業「医業類似行為」については一切争っていない

個人事業税の第三種事業の中に、「あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業」(以下、医業類似行為)というものがあります。
多くの事業は税率が5%なのですが、この事業は3%というのが特徴。

神奈川県では、あはき・柔道整復の国家資格を持つ者がカイロプラクティックをしている場合に、第三種事業の「医業類似行為」として課税することにしているようです。
私の調べでは、23都府県では国家資格の有無に関わらず「医業類似行為」として課税し、20道府県では国家資格を持たない者が行うカイロプラクティックについては課税対象外(該当業種無し)として扱っているようです。

一審判決を読むと、あたかも私がこの事業に該当するかどうかを争ったかのように書いてあるのですが、ここについては一切争っていません。

カイロは請負業ではないとした根拠は、まず一つは請負契約ではなく準委任契約だということ。
もう一つは、昭和27年の国の通達の存在です。

税理士の顧問料、調教師、人工授精師業の課税について
(昭和27年7月23日 地方財政委員会875号)

1,事業税の第一種事業として列挙されたものは、商工業等のいわゆる営業の種類に属するものであって、請負業も右に準じ限定的に解することが妥当であるから、犬の調教師に対してこれを請負業として課税することは適当でない。また諸芸師匠業として課税することにも疑があるから政令で列挙すべきであり政令で列挙しなければ課税することは困難であると解する。

2,事業税、特別所得税における現行地方税法の課税客体に関する規定は原則として法定列挙主義に則り賦課徴収しているものであって事例の場合人工授精師に対しては法定業種に規定していないので課税することはできない。

個人事業税は第一種~第三種まで分類されていますが、理由があります。

第一種 第二種 第三種
対象 商工業(営業) 原始産業 自由業・資格業
前身 営業税(国税)

個人事業税の第一種事業は、元々は国税の営業税というものでした。
昭和19年の東京国税庁の資料によると、このように記されています。

請負業には自由職業を含まず

営業税は元々、商工業のみを対象にしていました。
国税から地方税に移管する段階で、原始産業と自由業も個人事業税の課税対象になっていったのですが、個人事業税の第一種事業はあくまでも商工業(営業)が範疇。
そのため、昭和27年の国の通達でも、「請負業は第一種事業に列挙されているから限定的に解する」とあるのです。

私の主張としては、神奈川県が「医業類似行為」として課税するための要件として、国家資格の保有の有無で区切っている点については一切争わないと当初から表明しています。
その上で、カイロ自体は自由業の範疇なので、新たに法定列挙されるとしたら第三種に来るべきものだから請負業ではないという主張もしています。

一審は本当に不可解な内容ばかりで、こちらが主張した内容が違うものになっているようにも受け取れます。

判決の意義

個人事業税について争われた訴訟自体がほとんどなく、請負業の定義について争ったものも恐らくないと思います。
判決で大きな意味を持つのは、請負業は請負契約(民法632条)のみで準委任契約を含まないとされたこと。
法人税法施行令の請負業には準委任契約も含みますが、個人事業税の請負業には準委任契約は含みません。

その上で、請負契約における完成とは「完成が明確である必要がある」としていること。
請負を広く見るのではなく、限定的に解釈するものだとハッキリさせた点に意義があります。

その上でですが、この判決はあくまでも地方税法上の概念について争っただけですので、それ以外の分野では全く意味を成しません。
カイロが医業類似行為であるか否かについては一切争っていませんし、単に地方税法72条の2第8項14号の請負業に該当するかどうかのみを争ったものです。

ここを拡大解釈することは意味が違います。

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