個人事業税は都道府県税で、かつ法定業種のみが課税される仕組み。
個人事業税の法定業種の中に、第三種事業「あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復・その他の医業に類する事業」というものがあります。
いわば医業類似行為ですが、この医業類似行為として課税している都道府県は、私の調査では約半数です。
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第三種「医業類似行為」の基準
第三種事業の「医業類似行為」ですが、名古屋高裁の判決の中で、「社会診療報酬を得る事業を行う者と、同等の知識や技量を持つ者に限定すべき」という趣旨があります。
そのため、私の調査では以下のようになっています。
都道府県数 | |
あはき・柔整の国家資格者がカイロ・整体を行う場合限定で医業類似行為として課税する。国家資格を持たない場合は課税対象外。 | 20 |
国家資格に関係なく、カイロや整体を医業類似行為として課税する | 23 |
国家資格を持つ場合は医業類似行為として課税し、資格を持たない者が行う場合は第一種事業「請負業」として課税する | 3 |
課税実態なし | 1 |
名古屋高裁判決では、国家資格を持つ者限定としているわけではない。
国家資格を持つ者と同等の知識と技量を持つ者としているところがポイント。
同等性の判別として、国家資格の有無で区切っているところもあれば、カイロであれば医業類似行為として課税している都道府県もある。
個人事業税は都道府県が課税主体なので、各都道府県で判断が割れているのが実情です。
請負業は間違い
神奈川県では、国家資格を持たない者がカイロプラクティックをしている場合、第一種事業の「請負業」として課税していました。
これについては令和2年11月18日、東京高裁で課税が違法だとして全部取消の判決を得ました。
(その後、最高裁で上告不受理)
請負業は明らかにおかしいですが、個人事業税については判例自体がほとんどありません。
請負業の定義について争った判例も、恐らく史上初ではないかと思われます。
請負業は民法632条の請負契約のみであるとされ、かつ、請負の完成は明確である必要があるとされました。
有形のものでも無形のものでも請負の完成となり得るが、その完成とは明確なものでなければならない。
個人事業税については曖昧なまま課税されているケースが多いので、不満があるときは県税事務所にきちんと相談して解決するしかありません。