神奈川県が定める「請負業」の認定基準の問題点。

先日も書いたように、カイロプラクティックは個人事業税第一種事業の請負業ではないということで判決が確定しました。

カイロプラクティックが個人事業税の法定業種「請負業」であるか否かが争われていた訴訟についてです。 令和2年11月18日、東京高裁にてカ...

神奈川県は、請負業の認定基準として4項目を挙げています。

神奈川県の請負業の認定基準

神奈川県は以下の基準を公表しています。

個人の方が行う事業が、次の(1)から(4)の要件をすべて満たす場合は、「請負業」として個人事業税の課税対象となります(注意)。

(1)営業の範囲に属するものであること
(2)資本的経営を行っていること
(3)仕事の計画及び遂行について独立性を有すること
(4)危険負担を有すること

この4項目を満たす場合には請負業として課税することを公表しています。
この4項目については、東京高裁(令和2年11月18日判決)により否定されています。

通達をもって法律解釈を根拠付けることに無理がある上、上記基準は、請負と雇用の区別を、事業性ないしは裁量性の有無で判断する基準として利用されるものと理解でき、事業性ないし裁量性はともに認められながら、仕事の完成を目的とするか否かで区別される請負と準委任とを区別する基準としては合理的ではない疑いがあるので、主張は採用できない。

東京高裁令和2年11月18日

事業税逐条解説でも、請負業は請負契約(民法632条)による事業とあります。
神奈川県の4つの項目では不足しており、まず請負契約による事業なのかが判断されるべきですが、神奈川県は請負と準委任を分けることなく違法に課税してきた実態があります。

おかしいと思ったら審査請求を

東京高裁では、以下のような判断が下されています。

請負による仕事の完成は、必ずしも有形のものに限らず、無形のものとすることもあり得るが、完成すべき仕事(労務の結果)の内容が明確である必要があると解される。

東京高裁令和2年11月18日

神奈川県がカイロプラクティックを請負業として課税した根拠は、「一定の施術を、一定時間するという無形の完成を約束」となっています。
しかしカイロプラクティックは、施術者の裁量により、どのような施術をどの程度行うかが任されていて、内容が画一的に決まっているものではありません。
このようなものは請負ではなく準委任だとしています。

請負業は、個人事業税の法定列挙事業の中でも、最も範囲が広く捉えられることが多いです。
しかしながら間違った課税が横行している実態があります。

請負業の歴史

現行の個人事業税第一種事業は、元々は地方税ではなく国税でした。
国税時代は営業税という名目で、商工業を対象にしていました。

営業税時代の資料を見ると、「請負業には自由職業を含まず」と記されたものが多々出てきます。
そのため、地方税に移管された後の国の通達でも、犬の調教師に当てはめるのは適切ではないとしています(昭和27年地方財政委員会通達)。

請負業とは請負契約により収益をあげる事業で、かつ自由業とみなすものを含まない。
これが正しい定義です。
しかし都道府県によっては違法に対象を拡大しているケースもあるため、不服があるようでしたらきちんと精査してもらったほうがいいでしょう。

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