個人事業税における、請負業の定義。

個人事業税は地方税法で決まっている70業種にのみ課税される税金です。
事業主控除290万を差し引いた残りに、一定の税率(3~5%)が課税されます。

この中で一番わかりづらいのが、第一種事業にある「請負業」です。

個人事業税の請負業とは

個人事業税の請負業とは、第一種事業になっています。

業種 内容
第1種事業 営業
第2種事業 原始産業
第3種事業 自由業

個人事業税について、各都道府県が判定基準にしているのは、旧自治省府県税課が著者の「事業税逐条解説」という本です。
この中で請負業は請負契約(民法632条)によるものだと明記されています。

民法632条

請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

つまり、ある仕事の「完成」を約束して、完成させることで収益を上げるのが請負業です。
請負契約と似て非なるものとして準委任契約があります。
準委任契約は、仕事の完成を問われない契約です。

例えばですが、IT関係。
システムやソフトウェアの制作を依頼された場合、プログラムやソフトウェアなどを「完成」させてお客さんに納品することが求められます。
途中までやったけど完成しなかった場合は、報酬を受け取ることが出来ません。
この場合は請負契約と言えます。

ところがシステムの保守・管理を依頼された場合、何かを完成させるわけではなく、保守・管理業務をこなすだけの契約になります。
この場合を準委任契約と言います。

個人事業税の「請負業」は、何かを完成させると約束して、完成させて報酬を得ている業種になります。

ところで上でも書いたように、個人事業税の「請負業」は第1種事業に含まれています。
第1種事業は「営業」となっており、個人事業税の請負業には原始産業や自由業を含まないものとされています。

昭和27年7月23日 地方財政委員会税875号

1、事業税の第一種事業として列挙されたものは、商工業等のいわゆる営業の種類に属するものであって、請負業も右に準じ限定的に解することが妥当であるから、犬の調教師に対してこれを請負業として課税することは適当ではない。
また諸芸師匠業として課税することにも疑があるから政令で列挙すべきであり政令で列挙しなければ課税することは困難であると解する。

2、事業税、特別所得税における現行地方税法の課税客体に関する規定は原則として法定列挙主義に則り賦課徴収しているものであって事例の場合人工授精師に対しては法定業種に規定していないので課税することは出来ない。

何でもかんでも請負業となるわけではなく、あくまでも第一種に属するから限定的にみるものとされています。

旧自治省が著者の事業税逐条解説では、請負業の具体例として以下のものを挙げています。

土木建築の請負、大工、左官等のほか他人の依頼を受けて洗濯(クリーニング業に該当するものを除く)、洗張、表装、表具、和洋裁縫、製本等をなす者等

個人事業税の請負業は、請負契約によるもので、自由業ではないものと解釈出来る訳です。

ところが

一部都道府県では、請負業の範囲を違法に拡大して課税しています。
筆者が行っているカイロプラクティックについても、ある自治体では請負業だとして課税していますが、カイロプラクティックは一般的に準委任契約による業種。

請負等、と拡大解釈したり、自由業に属するものまで請負業として課税している自治体もあるので大変困りモノです。

筆者は2020年11月に、東京高等裁判所にて課税取消の判決を得ました。

ご報告が遅くなりましたが、2020年11月18日、東京高等裁判所にて、カイロプラクティックに対し請負業として課税することは違法であるとして課...

本件は最高裁判所に上告がありましたのでまだ結果は出ていませんが、請負業ではないものまで請負業として課税している実態もあります。

不自然だと思ったら審査請求を

個人事業税の規定を無視して、違法な課税が横行しているようですので、請負契約ではない業種まで課税通知が来たときには、審査請求を行ったほうがいいでしょう。

地方税法に定める業種は、物品販売業やクリーニング業など明確なものもあれば、請負業や代理業など曖昧なものもあります。
請負業はその中でも最も曖昧な部分で、違法に拡大解釈して課税されている実態が残念ながらあります。

個人が裁判を起こすのはなかなか大変なことですが、審査請求か訴訟ではないと、課税通知をひっくり返すことは出来ません。

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