間違って個人事業税の請負業にされるケースはそこそこあるようです。

個人事業税は法定列挙された70業種のみにかかる税金ですが、この中に請負業というものがあります。
請負業というのは幅広い職業を包括する業種なのですが、請負業ではないのに強引に請負業として課税されるケースもあるようです。

請負業の定義

請負業の定義は、このようになっています。

請負業とは、報酬の取得を目的として、ある仕事の完成を引き受け、これを完成させる事業をいう(民法632条)。(中略)
請負業とは、その事業が通常請負契約によって行われるものをいうのであるから、大工、左官、とび職、植木職、ブリキ職等でたまたま請負契約によることがあっても通常単に自己の労力を提供しこれに対する対価として賃金を受け取っているにすぎない者の行う事業については事業税を課さないものとすること。なお、その認定に当たっては、国の税務官署の取扱いに準ずるものであること。

神奈川県のHPによると、このようにも記載されています。

注意:運送業、印刷業、写真業、理容業、クリーニング業等も広い意味では請負業に含まれますが、こうしたそれぞれ独立の業種として別に法令で定められているものは、ここにいう請負業には含まれません。

つまり、請負契約によって収益をあげる業種で、かつほかに列挙されていない業種が請負業となります。
ポイントとなるのは、請負契約かどうかですね。

請負契約ではないのに、請負業とされるケース

例えばですが、インターネット上で調べていくと、気功整体を行っている人が請負業として課税されていたが、不服申し立てした結果課税対象外になったという事例があります。

気功整体というのは、完成を約束するわけではなく、あくまでも業務の履行に過ぎないので、準委任契約と見なすのが妥当でしょう。
なので請負業の定義から見ると、ここに当てはめて課税するのは不適切でしょうね。

ほかに難しい事例としては、翻訳業を営んでいる者が請負業に該当するかどうかで争われた事案がありました。
https://www.pref.kyoto.jp/shingikai/seisaku-02/documents/29toshin001.pdf#search=%27%E7%BF%BB%E8%A8%B3+%E8%AB%8B%E8%B2%A0%E6%A5%AD+%E5%80%8B%E4%BA%BA%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E7%A8%8E%27

この事案では、単発的、突発的に仕事をしているので【業務の継続性】がないので請負業には当たらないと審査請求人が主張しているようなので、翻訳という業務自体が請負業なのかを争ったわけではなさそうです。

翻訳と通訳は似ていますが、ここらへんは判断が分かれそうな部分です。
例えばですが、英文書籍を渡されて翻訳を依頼された場合、これは和文化されたものを納品しないといけないでしょうから、仕事の完成を目的とした請負契約と見なすものと思われます。
通訳の場合、完成を目的としているのかはちょっと怪しいところなので、契約内容次第でしょうか?

ただし請負における完成というのは、必ずしも有形のものには限らなくて、無形のものでもよいとされています。
完成という状態が客観的に定義できることが必要になりますが。

この請負業というのは、旧自治省が著した【事業税逐条解説】という本くらいしか、詳しい説明がありません。
しかしながら、この事業税逐条解説に記されていることでも、各都道府県によって解釈が違う場合があり、それが混乱を招く元になっています。

請負契約ではないのに請負業と認定された場合には、審査請求を

審査請求というのは、その都道府県庁に対する不服申し立てです。
この個人事業税が本当に正しいのかな?と疑問に思ったら、まずは管轄の県税事務所などに電話して、どの業種で課税されたのかをハッキリさせます。
その上で理由を聞いて、納得できないようなら審査請求したほうがいいでしょう。

審査請求は、課税決定通知から3ヶ月以内しかできませんので、ご注意を。
審査請求の場合、審査するのは都道府県庁に設けられた、税務とは関係ない審査部みたいなところが行います。
きちんと請負業の定義を示し、自分が行っている職業は請負契約ではないということをハッキリさせることができれば、十分でしょう。

※ただし、審査請求する場合でも、税金自体は納期限までに支払う必要があります。
納期限までに納付しないと、延滞税が発生したり、財産の差し押さえを食らう場合もあるので気をつけてください。

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